奇跡の果実
これからする話は、おしゃれな情報としてなかなか語られることのない100円ショップで起こる奇跡についての話。100円で買える奇跡の商品との出会いの話をする。
100円ショップというとその名の通りすべての商品が100円で買える場所。そこにクオリティやデザイン性を求めることはなく、日用雑貨をとにかく安く買うための場所と考えるのが一般的だろうか。商品開発者は、販売価格を100円に収めるために、様々な努力をする。たとえば、有名なデザイナーを使わない、素材、装飾、工程を単略化しコストを抑える。これって肯定的に捉えれば、無駄な装飾のないシンプルな素材使いのアノニマスなプロダクトということになってくる。そうやって出来上がった100円ショップのアイテムにときどき奇跡が起こることがある。
具体的にそんな観点から選んだアイテムをいくつか紹介しよう。
まるで海外のペーパーバックのようなメモノート。
海外のスチューデントが持つ教科書のようではないか。
うーん、この素材感、そしてこの奇跡のデザインと配色。こんなものは、おしゃれな雑貨屋はおろか、海外に行ってもここまで海外っぽい普通なノートに出会えることはない。まさに奇跡のプロダクトだ。
そしてこちらは、よくあるファスナー付きのビニールケースなのだけど、メッシュの入ったビニール素材で、見た瞬間にVersapak社のセキュリティーバックを思い出した。業務用的で装飾のない質実剛健な雰囲気だ。
最後は、一見何の変哲もない3個口の電源タップ。ここにも奇跡が宿った。通常のものだとやや長四角で台形、表面にはブランド名かスペックの刻印が入っている。100円ショップで売っていたやつは違った。形が正方形で、台形にはなっていないまっすぐな立方体。このカタチがあまりにも新鮮。表面も何も刻印されていなくって、赤いランプがアクセントとしていい感じ。コストを切り詰めて切り詰めて、無駄をなくしていったらとっても素直なタップが出来上がってしまった。ということなのだろう。
100円ショップに行ってこんな商品を選ぶのはとても楽しい。バイヤーによって選び抜かれたアイテムが並ぶおしゃれなインテリアショップで買い物をするのもいいが、人類未開のジャングルへ行ってまだだれも囓ったことのない甘い奇跡の果実を探すのもとても楽しい行為だ。