Keys to the City #01 – Genta Narita (Cafe manager)
東京を拠点に活動するエディター、Ben Davisによる暮らし方と生活空間を紹介する最初の連載コラム。
豊かな髭の口元から発せられる物腰柔らかな声、しかし丸メガネの奥の視線は常に新たなカルチャーのムーブメントを探している。今回お話を聞いた成田玄太さんは、千駄ヶ谷にある人気カフェTas Yardのマネジャーであるだけでなく、様々なイベントやポップアッププロジェクトの仕掛け人である。
成田さんとはここ2,3年で知り合ったのだが、最初に素敵なマスターのいるクラシックバーの素晴らしさについて意気投合し、最近ではその話題の中心をお互いの生活空間へのアプローチへと移している。
彼のことをもっとよく知ろうと、細部まで整えられたリビング、ダイニングとキッチンスペース ( このようなスペースがあろうことは二人の会話の中で明らかになっていたが、実際に見るのは初めてであった )でコーヒーをシェアするために、代々木にある彼の2階建てのアパートヘ行った。
– (窓を大きく開けて、雨の音を聞ききながら) この家は本当に居心地が良いね。普段はどうやって過ごしているの?
休日はいつも早く起きて、まず軽い朝食とコーヒーを用意することが多いかな。電気はつけずに窓の横に座って本を読んだり。隣の家と少し距離があるのも気に入っていて、建物と建物の間に緑が見えるのもまた良い。
– かなりユニークな小物のコレクションを集めているよね。
そうなんだよね。古いものが好きで、例えば部屋の角にあるボクシングのグローブとか、ちょっと笑えるものも好き。子供の頃、姉と妹に挟まれて育ったせいか、男性的なものより少しキュートでユニークなものに惹かれるのかもしれない。
– これについて聞かずにはいられないんだけど、君の肖像画について教えてもらってもいい?
もちろん。僕の父は看板を描くことを仕事にしていて、アートについての雑誌なんかがたくさん家にはあった。(岩手県出身)若い時に、たぶん15年くらい前なんだけど、ひとつの短い記事のなかで岡美里さんというアーティストを偶然見つけて。記事の横には左の横顔の肖像画がギャラリーの 壁に並んでいる写真が掲載されていて、とても興味が湧いたんだ。彼女の作品にとても興味があっ たんだけど、東京に越した頃にはいつしか彼女の名前も忘れていたんだけどね。
つい数年前、上司の奥さんが彼女の友人の展示会に僕らを招待してくれたことがあって、作品をよく見ているうちにその作品は僕が20代の頃に岩手で出会った、あの岡さんの作品だったことに気が付いたんだ。感動したよ。その展示会で岡さんには会うことができて、その話をしたらぜひ僕の肖像画を描かせてほしいとオファーしてくれて。これが、あの絵が出来上がったストーリー。
– それぞれ異なる小物やインテリアがきちんと整えられていて、このスペースは独自のスタイルがあるね。
この部屋の空間は、少しだけバーのようにしたいなと思って作ったんだ。だから家というよりは、むしろお店っぽくしている。 音楽を聴きながら過ごすのも楽しいけど、沈黙も心地良よく過ごせると思うよ。
– 自分の好きな場所になるように空間を作っているんだね。
その通り。たまに周りから細かすぎて大変じゃないかって聞かれるんだけど、僕にとってはそれが楽しい。休日はよく念入りに掃除をしているよ。
– 普段は、仕事終わりにすぐ家に帰ってきて寝てる?
たまに家に帰ってきてからお酒を作ってる。好きなんだよね。
– カクテル?
ハイボールとか、ジントニックとかシンプルなものが多いかな。ハイボールを作る時は少し甘くて バニラの香りも楽しめるTempleton Ryeを使って作る。もう少し重いのが欲しいときはショートのゴッドファーザーがいいね。
– ここにいると、バーテンダーみたいに見えるね。
家じゃ(シェイカーは)振らないけどね、さすがに (笑)。
Manager, Tas Yard
Lives in Yoyogi. Works in Sendagaya. Plays in Yoyogi-Uehara.
https://www.instagram.com/perch_gentanarita/View properties in Yoyogi, Minami-Shinjuku and Sangubashi
Photo & Article : Ben DavisEnglish