Keys to the City #03 – David Glaettli (Design director)
東京を拠点に活動するエディター、Ben Davisによる暮らし方と生活空間を紹介する連載コラム。
David Glaettliは、日本の家具ブランド、「Karimoku New Standard」のデザインディレクター、クリエイティブディレクター。10年間の京都での生活を経て、東京に移り現在は80年代風アパートメントと呼んでいる都立大学の家に住む。ディレクターとしての彼の仕事は、日常生活のなかに溶け込んでいるようだ。
Davidのデザインに対するアプローチや、生活ぶりをもっと知りたいと思い、ある日の朝、彼の部屋を訪れた。その部屋は、彼がデザイナーであることを思い起こさせるエッセンスに満ちていた。彼がデザインした家具と、彼のお気に入りのアイテムたちに囲まれた部屋。まずは「家具と空間」について聞いてみようと思う。
– 自身が家具デザイナーでもあるDavidに聞きたいんだけど、どうやって部屋と家具を合わせてるの?
素晴らしいデザインの家具は、古さや新しさに関係なく、どんな空間にでもフィットすると思うよ。僕が家具をデザインするときにも、何か特定の目的や空間にフィットさせるのではなく、常にオリジナルであるということを意識している。考えるときは、物事を根本から考え直すようにしているし、一緒に仕事をする人にもそうするように求めている。そうすることにより、何かの真似ではない独創的なものができると思うんだ。そうして作られた家具を、色んな人が、色んな空間で自由につかえているとしたら、とても嬉しいね。
– その日の気分や場所によって合わせる家具を変えたりもする?
もちろん。僕は模様替えするのが好きで、子供のころなんかは親がいないうちに部屋の家具の配置を全部変えたりして。二人とも帰ってきたときにはすごく怒っていたけどね(笑)。家具の位置を少しだけ変えたり、何か新しいものを加えるだけで、その空感に変化が生まれる。それが好きなんだ。
– それは家においても変わらない?
そうだね。新しい家でも少し経つと変えたいなって思い始めるんだ。3年に一度引っ越しをするのは、自分を取り巻く環境を変えたいからかな。家の中では、何かを捨てたり新しいものを加えたり、ベッドルームを違う部屋にしてみたり。そんなことをすると新鮮な気持ちになれる。
– 移動しやすいデザインが多いような気がするけど、それは模様替えしやすいから?それともノマディックライフ/ シンプルな暮らしの視点からなのかな?
ノマディックライフ/ シンプルな暮らしを意識しているわけではないんだけど、日本はもちろん、世界でも通用する家具を作らなければいけなかったから、結果的にそうなったのかもしれないね。空間の大きさ関わらず、どんな状況や場所であっても合う家具を作らないといけないからさ。
– 例えば、東京に引っ越す前に住んでいた京都の町家ではどうだった?
町家の方がより表情が豊かだったから、家具が空間とよく合っていたと思う。こっちの家はより西洋的で、家具をおくための箱といった感じかな。京都の家は、それ自体が家具のような感じがしたんだ。町家は大工によって作り上げられていて、どんな細かい部分であってもそれぞれ意味を持っているから、そんな感じがするのかな。だから、家具の本当の良さが際立ったんだと思うよ。
Keys to the City #03
David Glaettli
Design director, Glaettli Design Direction Ltd.
Creative director, Karimoku New Standard
Lives in Toritsu-Daigaku. Works in Toritsu-Daigaku. Plays in Tamagawa.
http://www.davidglaettli.jp
http://www.karimoku-newstandard.jp/
Photo & Article: Ben Davis