『ワレワレハエアホンヤダ!』第8回
『ぼくは散歩と雑学がすき』という本を知っていますか?
著者の名は「植草甚一」。大正〜昭和にかけて活躍した評論家です。
でも私にとっては”評論家”というより”蒐集家”のかっこいいおじさん、というイメージ。なぜかと言うといか文庫は以前、植草さんを代表とする「かっこいいおじさんの書斎」をイメージしたフェアを開催したことがあるからです。→その時の様子はこちら
そんな「かっこいいおじさん」=「植草さん」の展覧会があると聞きつけ先日、世田谷文学館に行ってきました。
そして、そこで、なんと、「植草さんの”エア本屋”」に遭遇してしまったのです!!
「ワレワレモ!エアホンヤダ!!!!!!」
・・・どういうことか、と言うと・・・
展覧会の最後の目玉として、「植草さんが妄想した本屋」=『三歩屋』が、展示会場の最後に再現され、建っていたのです。
植草さんの蔵書は約4万冊!だったそうです。それは自宅マンションに、本を収めるためだけに、もう2部屋借りていたくらい。(ちなみにレコードは約4000枚。亡くなった後、タモリさんが全て買ったというのも有名な話。→詳しくはこちら)
その本を売る本屋の構想を晩年、あれこれ考えていたという文献を元に、世田谷文学館が実際に作ってしまったというわけです。
さて・・・
この日、会場内で開催していた「セタブンマーケット」の中の『三歩屋』ブースで見つけた本が、室生犀星の『或る少女の死まで』です。最近すっかりハマっているマンガ『月に吠えらんねえ』に出てくる犀くんのことが気になってしかたがない今の私の気分にぴったり。
それはまるで、散歩の途中で古本やレコード、雑貨をハンティングする植草さんの気分とも重なるんじゃないか?なんて思ったりして・・・。
もっともっと、散歩や雑学を好きになりたくなった一日でした。
■世田谷文学館
東京都世田谷区南烏山1-10-10(京王線「芦花公園駅」徒歩5分)
http://www.setabun.or.jp/index.html
※企画展「植草甚一スクラップ・ブック」は、7月5日(日)までの開催です。
■『或る少女の死まで』室生犀星:著 岩波文庫(古書)