『ワレワレハエアホンヤダ』第38回 番外編「トイレでポン(本)!」
トイレに置いてある本、ありませんか?
トイレに置いてあるからと言って、それは、読み古したから格下げ、とか、邪見に扱ってもいい本だから、っていうわけでは無く、むしろ、もう何度も読んでいるのにトイレに入るとつい手に取っちゃって、何なら最後まで読んでしまう、そんな本。
それはつまり、大切な愛読書の1冊なんです。
ちなみに店主は、トイレとお風呂にいるときが、一番アイデアが湧きます。
いか文庫が今までやってきた、あのイベントも、あの企画も、トイレかお風呂で「あ!」って思いつきました。出てすぐメモして、バイトちゃんに提案して…という流れで実現したものが、ものすごく多い。
アイデアが湧き出る場所でもあるからこそ、トレイは個人的にとても大切な場所でもあります。
そんな、大切な場所に、大切な1冊として置く本に最近仲間入りした1冊を、今回は紹介しようと思います。
題して、「ワレワレハエアホンヤダ!」番外編「トイレでポン(本)!」
『たましいいっぱい』
おくやまゆか(エンターブレイン)
2015年、第19回文化庁メディア芸術祭で漫画新人賞を受賞した作品ということもあり、前から気になってはいたのですが、最近やっと手にしました。
9つの短編が収められたこの漫画は、「しりこだまらぷそでぃ」という、ゆうれいたちが出てくるお話からはじまります。
寝ている子の周りをフワフワ漂いながらふざけていたら、そのうちの1ゆうれいが飲み込まれてしまって……という、なんともシュールなお話から始まるのですが、それだけじゃないのがこの本の魅力。
問題を抱える夫婦の話や、杉浦日向子さんを思わせる江戸時代を舞台にした話、詩を読んでいるような物語なども並び、スルスルと読めるけれど、心にぽわんと何かが残る、そしてそれを何度も味わいたくなる1冊です。
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いまトイレには、これともう2冊、置かれています。いつか、トイレにちょうどいい本棚を見つけてきて、そこに、みっちり本を詰めて、優雅なトイレタイムを過ごすのが、今の店主のちいちゃい夢の一つです。
あなたの「トイレでポン(本)!」は、どんな本ですか?